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40歳以上の中高年女性に多い|腰椎変性すべり症の症状・原因・治療法

2023年10月07日

腰椎すべり症とは、積み木のように連なる腰椎が、文字通り前方へすべり出してしまい、様々な症状を引き起こす病気です。腰椎すべり症は、大きく背骨や椎間板などの変性によって起こる「変性すべり症」と、腰椎分離症に続発する「分離すべり症」とに分けられます。

 

この記事では、腰椎変性すべり症について解説します。

腰椎変性すべり症とは?

腰椎変すべり症とは、加齢に伴って、椎間板と椎体のつながりや椎間関節にゆるみが生じ、上の椎骨が前へずれていくものをいいます。発生部位は第4腰椎と第5腰椎の間が多く、X線検査やCT検査の画像などで診断がつきやすい病気です。 

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背骨を支えている椎間関節が先天的に弱い人に、加齢による椎間板の変性や椎間関節の摩耗が加わって発症します。

 

また、40歳以上の中高年の女性、とくに閉経後の女性に多くみられ、女性ホルモンと関係があると考えられています。

腰椎変性すべり症の症状

腰椎変性すべり症の主な症状は、慢性の腰痛です。長時間、歩いたり、立ち続けると痛みが強まります。また、腰椎のずれによって、脊柱管の中の神経根が締めつけられて、下肢に痛みやしびれが生じます。

 

そのため、少し歩くと、痛みやしびれで歩けなくなりますが、しばらく座って休むと、神経根の圧迫が緩んで、また歩けるようになります。これを「間欠性跛行」(かんけつせいはこう)といいます。また、脚の脱力感、筋力の低下が起こる場合もあります。

腰椎変性すべりの治療

腹筋を常に意識して使うこと、腰痛が出た時には腰を動かしてストレッチすることなどが一般的な「腰痛」予防になりますが、「すべり症」に関しては効果のはっきりした予防法がありません。

 

治療は、コルセットの着用や非ステロイド性消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、神経ブロック療法、姿勢の注意などの保存療法を行います。保存療法で効果がなく、日常生活に支障をきたす場合は、手術が検討されます。

腰椎分離症・腰椎分離すべり症

腰椎変性すべり症に似た病気に、腰椎分離症・腰椎分離すべり症があります。

 

脊椎を構成している椎骨の後ろに、椎弓という骨が脊髄を守るように囲んでいます。椎弓は関節突起間部にある椎間関節という関節でつながって椎骨を支えていますが、激しい運動などにより、関節部分にひびが入ったり骨折したりすることがあります。

 

こうして椎弓が分離された状態を「腰椎分離症」といいます。さらに分離したことで椎骨が前方にすべり出た状態を「腰椎分離すべり症」といいます。関節突起間部は左右両方にありますが、両側とも分離が起こると、腰椎分離すべり症を起こしやすくなります。

 

【腰椎分離症の状態】

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【分離症とすべり症の違い】 

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腰椎分離症・腰椎分離すべり症の症状

椎骨をつないでいるのが椎間板だけになるので、腰椎が不安定になり、周囲の組織や神経に負担がかかるため痛みが生じます。その際、座骨神経につながった神経根が圧迫されたり炎症を起こしたりしていると、片方の脚の外側に沿って座骨神経痛が出ます。

 

分離症・分離すべり症は、腰を反らせると痛みが強くなる後屈障害型腰痛です。ただし、腰椎が分離しても腰や足に痛みが出るわけではなく、腰が疲れたり、重苦しい感じ、鈍い痛みを感じる程度の場合もあります。

発症直後なら安静で治ることも

腰椎分離症や腰椎分離すべり症は、激しい運動によって起こることが多く、とくに10~14歳の子供に多く見られます。成人の場合は、捻挫や疲労が引き金になって少年期に発症した腰椎分離症がわかることがあります。

 

発症直後であれば、腰に負担がかかる動作や運動を控え、コルセットで腰を安定させることで、分離した部分がくっつくこともあります。分離すべり症でもコルセットを着用しますが、改善しない場合は脊椎を固定する手術が行われる場合もあります。

まとめ

腰椎変性すべり症は、加齢による椎間板の変性や椎間関節の摩耗などによって上下の椎骨のうち、上の椎骨が前にすべり出して起こる症状です。40歳以上の中高年の女性に多く、女性ホルモンと関係があると考えられています。

 

治療は主にコルセットの着用、薬物療法、姿勢の注意、運動療法などの保存療法が行われますが、保存療法を行っても日常生活に支障が出るほどの痛みが生じる場合は手術が検討されます。

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